相続の遺留分の基礎知識!法的相続分との違いや対象者・計算方法など徹底解説!

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「遺産は長男にすべて相続させる」と言われたら、配偶者や他の子どもたちはどうすればよいのでしょうか。そのためにあるのが、遺留分です。

相続トラブルが登場するドラマなどでも「遺留分があるだろう!」なんてセリフを聞いたことはありませんか。

遺留分は不平等な、あるいは不当な遺産相続において、配偶者や子どもたちが困らないためにある制度です。今回は、遺産相続における遺留分について解説します

この記事では以下を詳しく紹介します。
・遺留分の対象者や請求できる範囲
・遺留分の計算方法
・遺留分の相続をスムーズに進めるコツ
・遺留分を侵害されたときの対応

この記事を読めば、遺留分の基礎知識がわかるだけでなく、相続をスムーズに進めるコツまでわかります。

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遺留分とは?

遺留分とは?

遺留分とはなにか。それは対象相続人が最低限相続できる遺産の取り分のことです。対象相続人は亡くなった人、つまり被相続人の親、子、配偶者で、兄弟や甥、姪などに遺留分を請求する権利はありません。

2019年の法改正

遺留分の相続人は遺留分が侵害された場合、それを請求できる権利を持っています。その請求の方法について、2019年に法改正されています。

法改正前は「遺留分減殺請求権」、改正後は「遺留分侵害額請求権」となっています。いずれも遺留分を下回る額しか受け取れなかった相続人が請求できる制度ですが、大きく違う部分があります。2つの違いを見てみましょう。

遺留分減殺請求権・財産自体を取り戻すことを求める
・生前贈与は時期に関わらず含める
遺留分侵害額請求権・財産に相当する金銭の支払いを求める
・生前贈与は相続前10年間に受けたものに限る

改正前の「遺留分減殺請求権」においては、相続した不動産に対して請求をした場合、遺留分権利者で不動産を共有することになります。

対して「遺留分侵害額請求権」では、不動産の時価額に対して金銭をもって請求することができます。

また遺留分に含まれる生前贈与についても、相続前10年間に受けたものに限ると期限が設けられました。

最低限保証される相続財産の権利

遺留分は、最低限保証される相続財産であり、誰にも侵害することはできません。相続の権利を侵害する行為には以下のようなケースがあります。

  • 被相続人が「財産はすべて愛人に相続させる」などの遺言を残していた
  • 生前贈与により本来相続できる財産の取得分が減ってしまった

遺留分とは、遺言よりも強い効力を持ち、請求することで最低限の財産を受け取れる権利です。

ただし遺留分の減殺請求ができる対象者は、法定相続人とイコールではありません。また遺留分請求ができると知ってから1年以内に請求しなければ時効となるなど条件があります。

放棄できる仕組み

遺留分は放棄することも可能です。放棄のための手続きは、放棄するタイミングで変わります。

相続前に放棄する場合

遺留分は、被相続人が亡くなる前に放棄することができます。ただし放棄するには、家庭裁判所で遺留分放棄の許可を受けなくてはなりません。

なぜなら、遺留分の放棄が誰かに強要されたものではなく、自分の意思であることを証明する必要があるからです。

  • 家事審判申立書
  • 不動産の目録
  • 現金・預貯金・株式などの財産目録
  • 被相続人予定者の戸籍謄本
  • 申立人戸籍謄本
  • 収入印紙1,200円分および郵便代など

遺留分放棄の手続きをするには、上記の書類等を揃えて、家庭裁判所に提出してください。

  • 誰かから強要されていないこと
  • 合理的な理由および必要性があるか
  • 遺留分放棄に見合う見返りがあるか

上記の点が認められれば、認められやすくなります。許可が決定されたのち、申立人当てに通知が届き、証明書の発行を求めることができます。

相続後に放棄する場合

被相続人が亡くなった後に遺留分を放棄する場合は、特別な手続きは必要ありません。「遺留分は請求しない」という意思表示だけでOKです。

遺留分侵害請求の時効は、相続開始と遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内です。この間なにもしなければ、自動的に放棄したことになります。

のちのちのトラブルを避けるためにも、放棄の意思表示はしておくほうが良いでしょう。

法定相続分との違い

法定相続分と遺留分には違いがあります。

  • 法定相続分…民法で定められている相続財産を相続する割合
  • 遺留分…遺留分の対象相続人に認められている最低限の相続債残の割合

法定相続分は「遺言がない場合」に相続財産を分ける目安です。強制力はありません、対して遺留分は相続財産を最低限もらえる権利なので、遺言があったとしても「遺留分侵害請求」の申し立てをすることで相続することができます。

相続放棄と遺留分放棄の違い

相続放棄とは、負債を含む被相続人の財産の相続をすべて放棄すること。「遺留分の放棄」と「相続放棄」は全く違うため注意が必要です。それぞれの違いを見てみましょう。

遺留分放棄相続放棄
放棄するもの遺留分のみ放棄相続権を放棄
相続人としての身分変わらない相続人とはならない
遺産分割協議への参加参加可能参加不可
相続財産の取得遺産分割協議をする場合、取得可能取得不可能
被相続人の債務負担義務あり負担義務なし
遺留分・相続分の変化ほかの相続人の遺留分は変わらないほかの相続人の法定相続分が変わる
相続開始前の手続き家庭裁判所に申し立てるできない
相続開始後の手続きとくになし3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする

相続放棄をすると、相続権をすべて失います。遺留分を含むすべての財産を放棄することになり、被相続人の負債の負担をする義務も発生しません。

対して遺留分放棄の場合は、相続人としての身分は変わらないため、被相続人の負債を負担する義務が生じます。

また放棄の手続きにも違いがあるため注意が必要。遺留分放棄は家庭裁判所に申し立てることで被相続人が生きているうちに手続きできますが、相続権は被相続人が生きているうちは手続できません。

遺留分の対象者とは

遺留分の対象者とは

遺留分の対象となるのは、被相続人と以下の関係にある者です。

  • 配偶者
  • 孫などの直系卑属
  • 親、祖父母などの直系尊属

遺留分とは、配偶者や子どもたちの生活を守るための制度であるため、兄弟姉妹、甥や姪は遺留分の対象になりません。さらに遺留分の割合にも違いがあります。続いてみていきましょう。

遺留分の割合

遺留分の割合は相続人によって違います。基本的に遺留分は相続財産の2分の1ですが、相続人が直系尊属のみだった場合は3分の1になります。

相続人遺留分相続人ごとの遺留分
配偶者相続財産の2分の12分の1
子ども1人相続財産の2分の12分の1
配偶者+子ども1人相続財産の2分の1配偶者:4分の1
子ども:4分の1
配偶者+直系尊属相続財産の2分の1配偶者:3分の1
直系尊属:6分の1
直系尊属(親・祖父母)相続財産の3分の13分の1

請求できる相続人

遺留分を請求できる相続人は、以下の通りです。法定相続人とは異なるため注意しましょう。

  • 配偶者
  • 直系卑属
  • 直系尊属

これらの相続人は、遺留分の請求ができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

配偶者

亡くなった人(被相続人)の夫や妻のことです。

直系卑属

亡くなった人(被相続人)の子ども、孫、ひ孫など直系の子孫のことです。被相続人が亡くなった時点でお腹にいた子どもも対象となります。

直系尊属

亡くなった人(被相続人)の親、祖父母、曾祖父母のことです。

請求できない相続人

法定相続人であっても、なくなった人(被相続人)の兄弟姉妹、甥や姪は遺留分を請求できません。

遺留分は、被相続人が第三者に全財産を譲るなどの遺言を残した際、配偶者や直系の親族が生活に困らないための権利です。

特別な場合を除き、兄弟姉妹で生計を共にしているケースは多くないため、遺留分の対象にはならないのです。

兄弟姉妹は非常に近しい関係に感じますが、実は相続順位は高くないことも遺留分の請求ができない理由のひとつです。

遺留分が認められない人

本来は遺留分の対象者であるにもかかわらず、以下のようなケースでは遺留分が認められません。

  • 相続欠格者
  • 相続廃除された人
  • 相続を放棄した人
  • 遺留分を放棄した人

詳しく見ていきましょう。

相続欠格者

配偶者や子どもなどであっても、「相続欠格者」であった場合は相続権を失います。相続権を失うと、遺留分も認められません。

  • 被相続人を殺害、または殺害しようとした
  • 特別な場合を除き、被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかった
  • 詐欺や脅迫により被相続人が遺言書を作成することを妨げた
  • 詐欺や脅迫により被相続人に遺言書の作成や撤回、変更等をさせた
  • 被相続人の遺言書を偽造や破棄、隠匿などをした

以上のような事由にひとつでも当てはまる場合は相続人の資格を失い、どのような場合においても撤回することはできません

ただし欠格者に子どもがいた場合、代襲相続が行われることも。代襲相続人には遺留分が認められています。

相続廃除された人

被相続人を虐待するなど著しい非行行為により迷惑をかけた場合、被相続人によって相続廃除されることがあります。

  • 虐待
  • 重大な侮辱
  • 長期間の音信不通
  • 借金の肩代わり

などの行為が挙げられます。

相続廃除は被相続人によって申し立てが行われます。ただし、申し立てをすれば必ず廃除できるわけではありません。

家庭裁判所の審判により申し立てが認められたのち、相続権を失います。相続権が失われると遺留分も認められません。

相続放棄した人

たとえば、被相続人との確執や被相続人に借金を含む莫大な負債があった場合、相続放棄を選ぶこともあるでしょう。

子どもや配偶者など、遺留分の対象者である法定相続人であっても、相続放棄をした場合、遺留分も認められません。相続放棄はそもそも相続人ではなかったという扱いになるためです。

遺留分放棄した人

自らの意思により遺留分を放棄した人には遺留分は認められません。遺留分の放棄は相続人が自らの意思により家庭裁判所に申し立て、認められた場合、あるいは被相続人の死後に放棄した場合に放棄できます。

一旦許可された遺留分の放棄は、被相続人が生きている間、つまり相続が開始される前であれば撤回することは可能ですが、簡単ではありません。

家庭裁判所に遺留分放棄許可撤回の申し立てが必要であり、申し立てをしてもよほどの事情がない限り取り消しは認められないと思っておきましょう。

遺留分の計算方法

遺留分の計算方法

ここでは、遺留分の計算方法を解説します。遺留分の計算は。相続人の身分などによっても変わるので、押さえておくとよいでしょう。

基本的な計算の方法

遺留分の基本的な計算方法を見ていきましょう。

遺留分は相続人の身分によって変わります。また人数によっても変わるため、計算方法を押さえておきましょう。

  • 相続財産…3,000万円

上記の条件であった場合、どのような算定になるか見ていきます。

相続人遺留分の割合遺留分
配偶者2分の11,500万円
子ども1人2分の11,500万円
配偶者+子ども1人2分の1配偶者:750万円
子ども:750万円
配偶者+子ども2人2分の1配偶者:750万円
子ども:各375万円
配偶者+直系尊属1人2分の1配偶者:1,000万円
直系尊属:500万円
直系尊属(親・祖父母)1人3分の11,000万円

なぜこのようになるのか、解説します。

法定相続分の半分

遺留分は法定相続分の2分の1、または3分の1と決められています。相続人が配偶者、または子どもであった場合は法定相続分の2分の1です。また親や祖父母のみの場合は3分の1となります。

割合は2段階で計算

遺留分の割合計算は2段階で計算されます。

  • ステップ1:総体的遺留分
  • ステップ2:個別遺留分

「総体的遺留分」は遺留分の合計で、全体でどのくらいの遺留分があるかを明確にします。続いて「個別的遺留分」で個別の遺留分割合を計算します。

総体的遺留分

総体的遺留分の計算は、誰が相続人なのかによって違います。

相続人総体的遺留分の割合
配偶者・直系卑属遺産全体の2分の1
直系尊属のみ遺産全体の3分の1

総体的遺留分は、相続人が直系尊属、つまり被相続人の両親や祖父母のみだった場合に限り、3分の1になります。

相続人が直系尊属+配偶者、あるいは子どもだった場合は、直系尊属のみではないため総体的遺留分は2分の1となります。

個別的遺留分

個別的遺留分は、総体的遺留分に法定相続の割合をかけて算出されます。

相続財産が3,000万円で、相続人が配偶者と子2人であるとき、総体的遺留分は2分の1の1,500万円です。

配偶者の法定相続割合は2分の1のため

  • 総体的遺留分1,500万×法定相続割合2分の1=750万円

となります。

子2人の法定相続割合は2分の1ですが、2人いるため2分の1のさらに2分の1となります。

  • 総合的遺留分1,500万×法定相続割合2分の1×2分の1=375万円

子どもが3人だった場合は、1,500万×法定相続割合2分の1×3分の1となり、子ども一人当たりの遺留分は250万円になります。

不動産がある場合の計算

相続財産に不動産があった場合は、「相続開始時の価格」が算定基準となります。不動産の評価方法には以下があります。

  • 時価公示・都道府県時価調査(土地)
  • 相続税路線価(土地)
  • 固定資産税課税評価額(土地・建物)
  • 不動産鑑定評価額(土地・建物)

それぞれメリットとデメリットがあるため、どの方法で評価するかは状況に合わせるとよいでしょう。

請求できる財産の範囲

請求できる財産の範囲

遺留分を請求できる財産の範囲は以下の通りです。

  • 遺言による財産
  • 死因贈与による財産
  • 生前贈与による財産

上記は相続財産に含まれるので、遺留分の請求対象となります。それぞれ見ていきましょう。

遺言による財産

遺言(遺贈)によって遺留分が侵害される場合は遺留分の請求が可能です。

遺言によって遺産を譲ることを遺贈といいます。受贈者との合意は必要なく遺言書に記すことができます。しかし遺贈によって遺留分が侵害された場合、優先されるのは遺留分です。

仮に配偶者と子どもが二人いる環境で「遺産はすべて長子に相続させる」という遺言があり、遺留分が侵害されていた場合、配偶者と次子は遺留分を請求できます。

死因贈与する財産

死因贈与によって遺留分が侵害される場合は、遺留分の請求が可能です。

死因贈与とは、贈与する側が死亡したのち、特定の財産を譲るという契約のことです。遺贈とは違い、贈与する側と贈与を受ける側、双方の合意が必要なことが特徴。

契約はいわゆる口約束でも可能ですが、状況によっては死因贈与があったことを証明する必要があります。そのため、公正証書を作成しておくのが望ましいでしょう。

双方合意の「契約」ではありますが、遺留分を侵害する場合は、相続人から遺留分侵害額請求ができます。

負担付き死因贈与

負担付き死因贈与とは、「〇〇をしてくれるなら遺産の一部を死因贈与する」という契約で、一定の負担や義務が生じます。

たとえば、介護をしてくれるなら遺産を贈与する、一人暮らしが不安だから一緒に住んでくれるなら遺産を贈与する、などです。

死因贈与との違いは、「負担」があるかないか。もし契約上の負担が履行されていないとなれば、撤回することができます。また通常の死因贈与と同じく、遺留分が侵害されている場合は請求できます。

生前贈与する財産

生前贈与により遺留分が侵害されている場合は、状況によって遺留分の請求が可能です。

生前贈与とは、被相続人が生きているうちに財産を譲ること。以下のような場合は、遺留分の請求ができます。

  • 相続が開始される1年以内に行われた相続人以外への生前贈与
  • 相続が開始される10年以内の相続人への特別受益にあたる生前贈与
  • 遺留分を侵害することを知りながら行われた生前贈与

相続が開始される1年前に行われた相続人以外への生前贈与

相続人ではない、たとえばイトコなどに生前贈与を行っていた場合、贈与から1年以内であれば遺留分の対象になります。

相続が開始される10年以内の相続人への特別受益にあたる生前贈与

相続人に対し生前贈与を行っていた場合、生前贈与を行ってから10年以内であれば遺留分の対象になります。

特別受益とは、遺贈や生前贈与によって受けた特別な利益のことで、以下のような例があります。

  • 婚姻に伴い金銭などの生前贈与をした
  • 事業を始めるための資金を生前贈与した
  • 住宅の購入資金を贈与した
  • 借金を肩代わりした
  • 居住用の不動産を購入し贈与した

ただし特別受益による生前贈与に10年の期限があるのは遺留分に対してのみです。相続分についてはその限りではなく、無制限でさかのぼって対象となります。

遺留分を侵害することを知りながら行われた生前贈与

贈与する側、贈与される側の双方が遺留分権利者の遺留分を侵害することを知りながら行われた生前贈与は、期間に制限なく遺留分の対象となります。

ただし、贈与される側が反論してきた場合は、双方が知り得た、予見できたと立証する必要があります。

遺留分の相続をスムーズに進めるコツ

遺留分の相続をスムーズに進めるコツ

相続は、できればトラブルなくスムーズに進めたいですよね。遺留分の相続をスムーズに進めるには、以下のコツを押さえておきましょう。

  • 専門家に相談するか進行を依頼する
  • 遺留分に配慮した遺言書や生前贈与を行う
  • 生前整理を行っておく
  • 事業承継は早期に特例適用手続きを行う

コツを押さえることで、不要なトラブルを予防できるでしょう。それぞれ詳しく見ていきます。

専門家に相談するか進行を依頼する

遺留分相続に関することは専門家に相談するとスムーズです。ケースに合わせた専門家を選ぶとよりよいでしょう。

専門家ケース
弁護士・遺産の分配について揉めている
・遺留分を請求したい、請求されている
・相続手続きを任せたい
・相続を放棄したい など
税理士・相続税がかかるか、どのくらいかかるか知りたい
・節税のためにできることを知りたい
・相続税を申告したい
司法書士・不動産の相続登記をしたい
・相続手続きを任せたい
・相続を放棄したい
行政書士・相続手続きを任せたい
・車の名義変更などを任せたい
法テラス・弁護士などに費用を支払えない
・費用の支払いを分割したい
自治体・専門家を頼りたいがどうしたらよいかわからない
税務署・相続税がかかるのか知りたい
・自分で相続税を申告したい
信託銀行・相続手続きを任せたい
・遺産の運用について相談したい

専門家への相談は費用がかかりますが、初回は無料で受けているところもあります。また市町村などで行う無料相談会などなら、気軽に相談できるでしょう。

遺留分に配慮した遺言書や生前贈与を行う

遺言書は、遺留分を侵害するような内容でも作成が可能で、それが原因で遺言書が無効になることはありません。

しかし遺留分を侵害された側には「遺留分を請求する権利」があり、遺留分は遺言よりも優先されます。

生前贈与についても同様で、遺留分が優先されます。

トラブルを防ぐためにも遺言の作成や生前贈与は遺留分に配慮して行うようにしましょう。

生前整理を行っておく

生前整理を行い財産の整理をしておくことも、相続をスムーズに行うコツのひとつです。生前整理をしながら、遺産の取り扱いについての意思を示す、相続人の間で協議するなどしておくとよいでしょう。

遺言書にメッセージを添えておくのもひとつの方法です。「長男は私の介護を進んでしてくれ、金銭的な援助もしてくれたので遺産を多く遺したい」などです。

不平等に見えても、被相続人の思いを汲み取って実行してくれる可能性があります。ただしこのようなメッセージには法的効力はないため、遺留分の請求を阻むことはできません。

事業承継は早期に特例適用手続きを行う

事業承継をする際には、遺留分のトラブルが起こりがちです。そのため事業承継は遺留分に関する「民法の特例」が存在します。

この特例は、経営者が生きているうちに、条件を満たせば遺留分の権利者全員との合意によって経営者から後継者に対して生前贈与された自社株式など一定の財産については遺留分算定の財産から除外できるというもの。手続きの手順は以下の通りです。

  1. 遺留分権利者と後継者の合意書を作成する
  2. 経済産業大臣に申請し確認をもらう(1ヶ月以内)
  3. 家庭裁判所に申し立て、許可をもらう(1ヶ月以内)

細かな手順があり、手間はかかりますが円滑に事業承継を行うためにも、はやめに手続きを行うとよいでしょう。

遺留分を侵害された場合の対応とは

遺留分を侵害された場合の対応とは

いざ遺留分が侵害されていることに気付いたとき、どのように対応したらよいのでしょうか。ここでは、遺留分を侵害された場合の対応を解説します。

話し合いによる解決する

遺留分を侵害している相手が、交渉、話し合いができる相手の場合は、こちら側の要望を伝えましょう。

話し合いの内容は必ず書面に残すか、会話を録音してあとあと確認できるようにしておくと安心です。

話し合いがまとまった後は、合意した内容を確認、合意書を作成しておくことが大切。言った、言わないのトラブルを防げます。

調停の申立て

話し合いができない、あるいは話し合いをしてもまとまらない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てが可能です。

調停の申し立て手順

  1. 遺留分損害請求ができるのか前提を確認する
  2. どこの家庭裁判所に申し立てをするのか決める
  3. 費用を準備する
  4. 必要な書類を用意する
  5. 申立書と添付書類を提出する

申し立てが行われると、当事者の都合に合わせて月に1~2回程度のペースで調停が開かれます。調停は「調停成立」、「調停不成立」、「調停の取り下げ」のいずれかの形で終了します。

訴訟での解決

話し合いができない、調停に応じない、または調停が不成立になったなどの場合、訴訟を起こすことができます。手順は以下の通りです。

  1. 裁判所に訴状を提出する
  2. 訴訟が開始する
  3. 判決が下る

もし判決に納得ができない場合は、不服申し立てをすることになります。遺留分を得られた場合は、判決後すぐ回収できます。

訴訟を個人で進めるのは難しいため、訴訟する場合は弁護士に相談するようにしましょう。

遺留分侵害請求の期限と制限

遺留分侵害請求の期限と制限

実は遺留分の請求には時効があります。時効が過ぎてしまうと、請求できる権利が消滅してしまうため注意が必要。

遺留分侵害額請求権の期限と制限についてしっかり確認しておきましょう。

時効期間

遺留分の時効は、遺留分の権利者が相続の開始後、遺留分の侵害を知ってから1年以内に請求しないと時効になってしまいます。

相続の開始日は被相続人が亡くなった日のことです。遺留分の侵害を知った日とはイコールではありません。

遺言や生前贈与などの存在を知り、かつ自己の遺留分が侵害されていることを知った日が起算点となります。

除斥期間

相続の開始から10年を過ぎたら、遺留分侵害額請求権が消滅します。これを除斥期間といいます。

除斥期間は遺留分侵害の事実を知り得てから1年の時効とは違い、侵害の事実を知らなくても10年を過ぎると権利が消滅するという制度です。

被相続人の死亡日が起算点となり、たとえ被相続人の死亡の事実を知らなかったとしても期間は進行し、10年を過ぎると遺留分侵害額請求はできません。

時効を止める方法

遺留分侵害額請求の時効を止めるには、相手方に「配達証明付き内容証明郵便」で金銭の支払いを要求する旨を通知しましょう。

配達証明付きにすることで、通知が相手方に届いたことを証明でき、内容証明で送ることで通知書の内容が遺留分侵害額請求であったことが証明できます。

「通知を受け取っていない」、「遺留分侵害学生級のことなんて書いてなかった」などという無用な争いを回避できるでしょう。

金銭支払い請求権の時効を止める方法

遺留分侵害額請求権を行使しても即受け取れない場合には注意が必要。金銭支払い請求権においても5年あるいは10年の時効が存在します。

金銭支払い請求権は、遺留分侵害額請求権を行使できると知った日から5年行使しないとき、あるいは権利を行使することができる時から10年を行使しないときに消滅します。

そのため遺留分を即受け取れない場合は、裁判上の請求をして時効を止めておきましょう。

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