遺産分割書とは財産の相続に必要な書類!作成の流れと入手場所、費用など解説!

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遺産分割書とは財産の相続に必要な書類!作成の流れと入手場所、費用など解説!

亡くなった方が遺言書を遺しておらず、かつ法定相続割合以外の方法で遺産を分割する場合、遺産をどのように分割するかの話し合いをする必要があります。

遺産には現金、預貯金ばかりではなく、不動産や自動車、有価証券、さらには債権や負債も含まれるので、何をどのように分割するかは非常に重要です。時には相続人間でトラブルに発展することもあるでしょう。

そのため遺産の相続について相続人で話し合い、分割方法をまとめます。この結果を書面にまとめたものが「遺産分割協議書」です。

今回は、遺産相続に必要な遺産分割協議書の作成の流れや費用などについて解説します。

この記事では以下を解説します
・遺産分割協議書とは
・遺産分割協議書の作成費用
・遺産分割協議書の作成方法
・遺産分割協議書が無効になるケース

家族が亡くなったばかりだと、悲しみのためになかなか手続きが進まないことも。この記事を読めば遺産分割協議書の作成方法や費用、注意点までわかるので参考にしてください。

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遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは

家族が亡くなった際に「相続財産をどのように分割するかを相続人全員で話し合うこと」を遺産分割協議といい、その結果を書面にしたものが、遺産分割協議書です。

遺産分割協議は必ずしなくてはいけないわけではなく、また必ず書面にしなくてはいけないわけでもありません。

ですが遺言書がない場合、遺産分割協議書がないとできない手続きがあったり、トラブルが起こったりする可能性があるため作成しておくほうがよいでしょう。

法的な位置づけと効力

遺産分割協議は、相続が発生した後に相続人によって行われる手続きです。ポイントは以下の通り。

  • 相続は被相続人の死去により発生する
  • 被相続人が生きている間、遺産をどう扱うかを決めるのは被相続人
  • 被相続人が生きている間に遺産分割協議を行うことはできない

被相続人が生きている間は、相続人はあくまで推定相続人です。推定相続人に遺産分割協議をする権利はありません。

また被相続人が生きている間、財産(遺産)をどう扱うかを決めるのは被相続人です。推定相続人に決定権はありません

そのため、被相続人の生前に推定相続人が協議をしたとしても、法的な効力は発生せず、被相続人がそれに拘束されることもありません。

作成が必要な状況

遺産分割協議書は必ず作成しなくてはいけないわけではありません。しかし以下の手続きをする場合は、必要になります。

  • 不動産の相続
  • 相続税の申告
  • 預金口座の名義変更や払い戻し
  • 自動車等の名義変更
  • 株式の名義変更

また、手続き以外にも必要になる場合があります。

  • 遺言書がなく、法定相続割合で分割をしない場合
  • 遺言書はあるが、遺言書の内容に不備がある場合

詳しく解説します。

遺言書がなく、法定相続割合で分割をしない

個人の財産を相続する「法定相続人」と法定相続人が相続する割合である「法定相続分」は民法により定められています。

遺言書がなくても、定められた法定相続割合で遺産を分割するのであれば、遺産分割協議は必要なく、遺産分割協議書もいりません。

しかし法定相続割合で分割しない場合は、相続人全員で話し合う遺産分割協議を行い、決定した内容で遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺言書はあるが、遺言書の内容に不備がある場合

基本的に遺言書がある場合は、遺言書の通りに遺産を分割します。しかし遺言書に不備がある場合は、遺産分割協議書の作成が必要となります。

では、遺言書はどのような場合、不備とされるのでしょうか。遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあり、不備とされるパターンに違いがあります。

内容自筆証書遺言公正証書遺言
内容が不明瞭××
遺言能力がない人が作成した(認知症など)××
公序良俗に違反している××
詐欺や脅迫があった××
新しい遺言があり内容が矛盾している××
自書ではない(遺言全文)×
日付がない、日付の特定ができない×
署名がない、押印がない×
財産目録に署名・押印がない×
共同で作成している×
15歳未満の人が作成した×
正しく修正されていない×
証人の資格がない人が立会人×

遺言書が上記に当てはまる場合は不備があるとされる可能性があり、遺産分割協議書が必要になります。

作成の期限について

遺産分割協議書の作成に期限はありません。作成するのは故人が亡くなってから5年後でも10年後でもいいのですが、早めに作成しないことでデメリットはあります。

  • 遺産の名義変更ができない
  • 相続税の申告期限に間に合わない
  • 相続関係が複雑になる

デメリットとしては上記のようなことが考えられます。詳しく見ていきましょう。

遺産の名義変更ができない

遺言書がない場合、遺産分割協議書がないと不動産や預貯金の名義変更ができない場合があります。

不動産や預貯金の名義変更にも期限はありませんが、口座が休眠になる、固定資産税を払い続けなくてはならないなどのデメリットがあるため、早めにすませた方がよいでしょう。

相続税の申告期限に間に合わない

相続税の申告は、相続開始から10カ月以内と定められています。期限までに遺産分割協議がなされていない場合は、とりあえず法定相続分で納税しなくてはいけません。

もし協議が間に合わなかった場合、相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば後から修正することも可能です。

しかし手間もかかるので期限内で手続きできるよう話し合いを進めるのがおすすめです。

相続関係が複雑になる

遺産分割協議に時間がかかると状況が大きく変わることがあり、それにより相続関係が複雑になることも。例を見てみましょう。

被相続人…父
相続人…妻、長男、二男、三男
・遺産分割協議中に三男が死亡
・三男には妻と子ども二人がいる

上記の場合、相続人に三男の妻や子どもが加わり、遺産分割協議に参加することになります。相続人が増えることにより、相続人全員の同意を得にくくなったり遺産分割協議書の記載方法が変わったりと複雑になります。

このような事態を防ぐためにも、早めの作成が望ましいといえます。

実印を押印し各自1通ずつ所持

遺産分割協議書には、相続財産を間違いなく記載します。さらに相続人全員の署名と実印の押印が必要であり、原則として相続人が各自1通ずつ所持しなくてはいけません。

そのため遺産分割協議書は少なくとも相続人全員分を準備します。また銀行預金などの名義変更をする際は金融機関ごとに遺産分割協議書を提出する必要があります。

遺産分割協議書の活用方法

遺産分割協議書は相続におけるさまざまな場面で必要になってきます。

  • 確定申告
  • 不動産・株・車などの名義変更
  • 預貯金の名義変更・払戻し

遺産分割協議書の活用方法を詳しく見てみましょう。

確定申告

遺産を相続した場合にかかるのは相続税なので、原則として確定申告は必要ありません。しかし場合によっては確定申告が必要です。確定申告が必要な例には以下があります。

  • 相続した不動産を売却した場合
  • 賃貸物件など収入が生じる遺産を相続した場合
  • 相続した遺産を寄付した場合
  • 死亡保険金を受け取った場合
  • 被相続人が確定申告をしていた場合

上記のような場合は、確定申告をします。確定申告に際し、相続した財産が法定相続分とは異なり遺産分割協議によって決められたものならば、遺産分割協議書を提出する必要があります。

不動産・株・車などの名義変更

不動産、株、車などの名義を変更する際に、遺産分割協議書が必要です。

相続内容提出先備考
不動産の名義変更(相続登記)法務局2024年より相続登記が義務化(3年以内)
株や投資信託の相続証券会社必須ではないが提出を求められる場合がある
自動車の名義変更陸運局・運輸支局相続する自動車の査定額が100万円以下の場合はその限りではない

遺産分割協議書が必須でない場合でも役立つことがあるので、用意しておくと便利です。

預貯金の名義変更・払戻し

被相続人の預貯金の名義変更や解約による払戻しをする際に、金融機関から遺産分割協議書の提出を求められることがあります。

ただし必須ではなく、ない場合は金融機関で定められた相続届に、相続人全員で署名と押印(実印)をすれば手続きできます。

ですが、金融機関ごとに相続人全員で署名・押印するのは大変なので、遺産分割協議書を準備しておくほうがスムーズでしょう。

遺産分割協議書は法務局でひな形を入手できる

遺産分割協議書には決まった書式はありません。縦書きでも横書きでも、構いません。ただし、記載しなければならない項目はあります。

日付や相続人全員の署名・押印が記入されていない、財産の内容が不明瞭であるなどの場合は不受理となるため注意が必要です。

なにをどう書いたらよいかわからないときは、法務省の公式サイトでひな形をダウンロードできます。

法務省公式ホームページ 遺産分割協議書記入例

もし作成するのが難しい、不安だという場合は、専門家に相談するのもおすすめです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 税理士

できることや費用は、依頼する先によって違うため、どのような手続きが必要かを見極めて依頼するとよいでしょう。たとえば司法書士に依頼する場合は、不動産登記手続きなども同時にできますし、税理士に依頼する場合は相続税の申告も合わせて依頼できます。

遺産分割協議書の作成費用

遺産分割協議書の作成費用

遺産分割協議書の作成にかかる費用は、自分で作成するか、専門家に依頼するかで違い、依頼先によっても違います。作成者別に費用相場を見てみましょう。

依頼先費用相場備考
自分で作成する0円~・必要書類の取得費:1通300円~600円程度
・公正証書にする際は別途費用が必要
弁護士依頼者の経済利益による・報酬基準は弁護士による
・相談料の相場は30分5,000円~10,000円
司法書士60,000円~・不動産登記手続きができる
行政書士30,000円~・書面のみの場合
税理士遺産総額の0.5~1.0%程度・相続税の申告も含まれることが多い

依頼先による費用の違いだけでなく、できることにも違いがあります。なにをどこまで依頼するかによって、依頼先を決めるとよいでしょう。

公正証書にする場合は別途費用がかかる

遺産分割協議書を公正証書にすることもできます。公正証書にすることで、あとから無効を主張されても退けやすく、裁判などに提出した場合にも有利です。

公正証書にする場合は、作成手数料がかかります。費用は相続額に比例して高額になるため、遺産分割協議書を公正証書にするかどうかは、費用と状況に合わせて決めるとよいでしょう。

遺産分割協議書の作成の流れ

遺産分割協議書の作成の流れ

遺産分割協議書を作成するには4つのステップを踏みます。

  1. 相続人の確定
  2. 相続財産を確定させる
  3. 分割内容の話し合い(遺産分割協議)
  4. 遺産分割協議書の作成と押印

それぞれ詳しく解説します。

相続人の確定

遺産分割協議には、相続人全員の出席が必要不可欠です。そのため、まずはすべての相続人を確定させなくてはいけません。

法定相続人の範囲は以下の通りです。

  • 配偶者
  • 子ども、代襲相続人(直系卑属)
  • 両親、祖父母(直系尊属)
  • 兄弟姉妹

被相続人の戸籍謄本を取り寄せ、すべての相続人を確認しましょう。もし被相続人に認知をした子どもがいた場合も、相続人となります。

相続財産を確定させる

相続人の確定と並行して行うのが、被相続人の財産の確定です。どのような財産がどのくらいあるのか、また負債はあるかなどを調べます。

現金、預金、不動産、有価証券や自動車、さらにローンや借り入れなどもすべて把握し、目録を作っておきましょう。

また遺言書がないかも確認します。あとになって遺言書が出てきた場合、トラブルになる可能性があるためです。

分割内容の話し合い

相続人と相続財産が確定したら、いよいよ財産をどのように分割するかを相続人全員で話し合います。これを遺産分割協議といいます。

遺産分割協議には相続人全員の参加が必須ですが、必ずしも同席する必要はなく、遠方に住んでいたり時間の都合がつかなかったりする場合は、電話などで意思の確認を取れば大丈夫です。

もし、遺産分割協議が合意に至らなかった場合、家庭裁判所による遺産分割調停、それでも合意できなければ遺産分割審判が行われます。

遺産分割協議を行う時期に決まりはありませんが、相続税の申告や納付は相続開始を知った翌日から10カ月以内となっているため、間に合うように進めるとよいでしょう。

遺産分割協議書の作成と押印

遺産分割協議において相続人全員の合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書の作成は義務ではありませんが、相続をスムーズに進めるためと、トラブルを避けるためにも作成しておきましょう。

<遺産分割協議書の主な記載内容>
・被相続人の氏名・死亡日
・相続人が分割内容に合意している旨
・相続財産の具体的な内容

上記にくわえ、相続人全員の氏名・住所、実印の押印が必要です。相続人全員分を作成し、各自が1通ずつ所持します。

遺産分割協議書の正しい書き方

遺産分割協議書の正しい書き方

遺産分割協議書に決まった様式はありません。手書きでもパソコンでもOK。また紙やペンにも決まりはありません。書きやすいように書いても大丈夫です。

しかし、記載すべき内容には決まりがあります。不備があると受理されないので、正しい書き方のポイントを押さえておきましょう。

  • 作成日の記入
  • 被相続人の情報
  • 相続人の情報
  • 財産の内容と相続者
  • 押印と署名の方法
  • 契印の付け方
  • 必要部数の準備

上記のポイントを押さえ、正しく書くことで相続がスムーズに行えます。詳しく解説します。

作成日の記入

遺産分割協議書を作成した日付は必ず記入しましょう。ひな形では相続人の署名欄の上に記載されています。

被相続人の情報

続いて被相続人の情報を記入します。

  • 被相続人の氏名
  • 被相続人の生年月日
  • 被相続人の死亡日
  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の住所

上記を記載しましょう。間違いがないように記入してください。

相続人の情報を明記する

次に相続人の情報を記載します。相続人は全員分を記入してください。相続人の情報は「妻 〇〇」、「長男〇〇」のように続き柄と氏名を記入します。

財産の内容と相続者を記載する

次に相続する財産の内容と相続者を記入します。「誰が」「どの財産を」相続するのかが正しくわかるよう、明確に記入してください。

そのためには、被相続人の財産をしっかり把握する必要があります。パソコンやスマホ等も確認し、漏れがないようにしましょう。

また、プラスになる財産だけでなく負債についても誰が相続するのかを記載します。

相続財産記入方法
預貯金・銀行名
・支店名
・預金種別
・口座名義人
・口座番号
以上を記載し特定する
不動産登記簿謄本通りに記載する
・土地の場合…所在地、地番、土地の種類、地積
・建物の場合…所在地、家屋番号、建物の構造、面積
株式などの有価証券・証券会社名
・発行会社名
・株式数 以上を記載し特定する
債務・負債・債権者
・契約内容
・債務残高
などを記載する

遺産分割協議前には相続財産をしっかり調査し、全財産を把握します。しかし調査において発見されなかった財産が、あとから見つかるケースもあります。

「あとから見つかった財産は〇〇が相続する」など、あとから発見された財産の取り扱いについても記載しておきましょう。

そうすることで、もし遺産分割協議後に新たに財産が見つかった場合にも、相続人が再度集まったり遺産分割協議をやり直したりする必要がなく、相続がスムーズに進みます。

また死亡保険金、死亡退職金は受取人固有の財産です。遺産分割の対象にならないので記載する必要はありません。

押印と署名の方法

遺産分割協議書には

  • 相続人全員の署名
  • 相続人全員の実印による押印

が必要です。相続人が一人でも抜けていたり、押印が実印でなかったりする場合は無効となり受理されませんので注意しましょう。

契印の付け方

遺産分割協議書が1枚ではなく複数ページになる場合は、ページの間に契印をします。

契印とは、2枚以上にわたる書類のつなぎ目に、1つの連続した文書であることを証明するために両ページにまたがってハンコを押すことです。

契印が押されていることで、ページが正しく連続していること、抜き取りや差し替えが行われていないことも証明できます。契印に使う印鑑は、相続人全員の実印です。

必要部数の準備

遺産分割協議書は相続人全員が1通ずつ所持します。そのため遺産分割協議書が完成したら、人数分を印刷しましょう。

そして各相続人が遺産分割協議書に従って、相続した財産の名義変更などを行います。

遺産分割協議書の財産種類別の記載方法

遺産分割協議書の財産種類別の記載方法

続いて、遺産分割協議書の財産種類別の記載方法を解説します。記入例の数値は例なので、実際に作成する際は財産内容等に従って記入してください。

現預金

預貯金について記載する場合は、「金融機関名」、「支店名」、「預金種別」、「口座名義人」「口座番号」を記載します。

相続人 〇〇は下記の財産を取得する
口座名義人××
△△銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号1234567

基本的に金額(残高)は記載しません。残高は変更する可能性があり、変更すると相続手続きが滞ってしまう恐れがあるためです。

一戸建て不動産

一戸建ての不動産を相続する場合、土地と建物に区分し「所在」などを記載します。所在は一般的な住所とは異なるため、登記簿謄本に合わせて記載しましょう。

相続人〇〇は下記の財産を取得する
(土地)
所在:東京都板橋区〇〇3丁目
地番:〇〇番△△
地目:宅地
地積:200.00㎡
(建物)
所在:東京都板橋区〇〇3丁目〇-〇〇
家屋番号:〇番〇
種類:居宅
構造:コンクリート2階建
床面積:1回70.00㎡ 2階55.00㎡

配偶者居住権

配偶者居住権とは2020年4月に新たに制定された民法で、被相続人が亡くなった時点で住んでいた建物を、配偶者が一定期間あるいは死亡するまで無償で使用できる権利です。

そのため配偶者は建物の所有権を持っていなくても、引き続き被相続人が持っていた建物に住むことができます。

次の不動産につき、相続人〇〇は〇〇の死亡時まで配偶者居住権を取得し、相続人●●は所有権を取得する。
(土地)
所在:東京都板橋区〇〇3丁目
地番:〇〇番△△
地目:宅地
地積:200.00㎡
(建物)
所在:東京都板橋区〇〇3丁目〇-〇〇
家屋番号:〇番〇
種類:居宅
構造:コンクリート2階建
床面積:1回70.00㎡ 2階55.00㎡

ポイントは、「配偶者居住権」と「所有権」を取得する相続人を明記することです。また配偶者居住権は登記が必要なので、配偶者と所有者で申請をしてください。

マンション

マンションを相続する場合は、「一棟の建物」、「専有部分の建物」、「敷地権」に区分して記入します。

相続人〇〇は下記の財産を取得する
(1棟の建物の表示)
所在:東京都板橋区3丁目〇〇
構造:鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
床面積:1階 400.00㎡
2階 400.00㎡
3階 400.00㎡
4階 350.00㎡
(専有部分の表示)
家屋番号:東京都板橋区3丁目〇〇
建物の名称:△△△
種類:居宅
構造:鉄筋コンクリート4階建
床面積:2階部分 50.00㎡
(敷地権の目的である土地の表示)
所在:東京都板橋区3丁目
地番:〇〇
地目:宅地
地積:1,000.00㎡
敷地権の種類:所有権
敷地権の割合:1,000分の30

一戸建てと同様、登記簿通りに記載しましょう。

株式・出資金

株式や出資金は、証券会社からの通知を参考に有価証券の情報を正確に記入します。

相続人〇〇は下記の財産を取得する
有価証券
△△証券△△支店 口座番号01234567
口座名義:××
内訳
①株式会社□□□ 普通株式 100株

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権は、ゴルフ会員権ごとに相続税申告上の取り扱いが異なります。そのため必ずクラブに問い合わせをしてから記入しましょう。

相続人〇〇は下記の財産を取得する
有価証券
①ゴルフ会員権 □□カントリークラブ 会員番号1-K1111

債務関連

遺産分割協議書には、債務の相続についても記載します。債務については「契約内容」、「債務残高」、「債権者」を記載します。

相続人〇〇は被相続人名義の次の負債を継承する
金銭消費賃貸契約
被相続人××と□□ファイナンス株式会社との間の令和×年×月×日付の金銭消費賃貸契約に基づく貸付債権
金300,000円
債権者 □□ファイナンス株式会社

葬式費用

葬儀費用は葬儀会社と喪主との間に、相続開始後に発生する債務です。そのため原則として遺産分割の対象にはなりませんが、相続人間の合意があれば相続財産で負担することもできます。

相続人〇〇は被相続人の葬儀費用の全額を負担する

名義財産

所有者と名義人が異なる財産のことを、名義財産といいます。例として、被相続人の子ども名義の口座でも、被相続人が管理しており贈与されていない場合は、名義財産となります。

名義が違っていたとしても被相続人の財産となり、遺産分割の対象となるだけでなく相続税の対象にもなります。

〇〇、△△および◇◇は下記の財産が名義人の異なる被相続人の財産であることを確認する。
①預貯金
東京銀行××支店 定期預金 口座番号01234567 (名義人〇〇)
②車両
名義人:〇〇
自動車登録番号:練馬 123 う 1234
車体番号:A321Z-1234567
〇〇は以下の財産を取得する
①預貯金
東京銀行××支店 定期預金 口座番号01234567 (名義人〇〇)
②車両
名義人:〇〇
自動車登録番号:練馬 123 う 1234
車体番号:A321Z-1234567

名義人が誰であったのかを明確にしておきましょう。

代償分割

代償分割とは、不動産など分割できない財産を一人の相続人が取得し、ほかの相続人には相続分に基づく代償金を支払うとする遺産分割方法です。

遺産分割協議書における代償分割の記入方法は以下を参考にしてください。

相続人〇〇は、第一条各号に記載の遺産を取得する代償として、相続人●●に対し、金〇〇万円を、遺産分割協議成立の日から1ヶ月以内に支払う。なお振込手数料は相続人〇〇の負担とする。

記入例のように、振込手数料についても記載しておくとよいでしょう。

換価分割

換価分割とは、相続する財産を売却などで現金に換え、相続人で分け合う遺産の分割方法のひとつです。

被相続人の死去によって空き家になった家に誰も住まない場合などは、売却して換価分割することになります。

たとえば相続人〇〇〇を含む3人で不動産を換価分割する場合の記入方法は以下のようになります。

第〇条 下記の土地(以下「本件土地」という)は、換価分割を目的として相続人〇〇、相続人●●および相続人△△が取得する。所在:東京都〇〇区〇〇町〇丁目
地番:1番地1
地目:宅地
地積:〇〇.〇〇㎡
第〇条 相続人〇〇、相続人●●および相続人△△は共同して本件土地の不動産を速やかに売却し、代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を、それぞれの共有分割割合に従って取得する

遺産分割協議書の手続きに必要な提出先

遺産分割協議書の手続きに必要な提出先

遺産分割協議書の手続きに必要な提出先は相続する財産によって違います。相続財産として代表的なのは「預貯金」、「不動産」、「自動車」が挙げられます。

これらの手続きを行うための遺産分割協議書の提出先は以下の4つです。

  • 税務署
  • 金融機関
  • 法務局
  • 運輸支局

上記にくわえ、株式などを相続するなら「証券会社」や「非上場株式の発行会社」への提出が必要な場合があります。

税務署

相続税の申告が発生する場合は、遺産分割協議書を税務署に提出します。提出する税務署はどこでもいいわけではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出しましょう。

相続税は基礎控除を超えた部分に課税されます。基礎控除の計算は以下の通りです。

相続税基礎控除=3.000万円+(600万円×法定相続人の数)

税額軽減などの特例を適用した結果、非課税になったとしても相続税の申告は必要なので、忘れないようにしましょう。

金融機関

以下のような場合、遺産分割協議書を金融機関に提出します。

  • 被相続人の預貯金の解約・一時払い戻し
  • 定期預金などの名義変更手続き

各金融機関には遺産分割協議書に代わる指定の用紙がありますが、被相続人の口座が複数の金融機関にある場合、都度作成することになります。

そのため自分で作成した遺産分割協議書を提出する方が手間がかかりません。提出しても原本は返してもらえます。

法務局

不動産を相続するときは、法務局に遺産分割協議書を提出します。所有権の移転のためなので、提出先は土地・建物の所在地を管轄する法務局です。

簡単にいうと不動産の名義変更ですが、これを相続登記といいます。相続登記は2024年4月から義務化されています。

相続登記が完了していない場合、当該不動産の売却および当該不動産を担保とした借り入れなどができません。

万が一手続きせず3年を経過した場合、10万円以下の過料が科せられる可能性があるので注意しましょう。

運輸支局

自動車を相続するには原則として遺産分割協議書を各都道府県の運輸支局へ提出します。

自動車の査定額提出書類
100万円以下の普通自動車遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書を提出する
100万円を超える普通自動車遺産分割協議書

相続する自動車が査定額100万円以下の普通自動車で、かつ遺産分割協議が成立している場合、運輸局から指定された「遺産分割協議申立書」が使用できます。

遺産分割協議成立申立書には、自動車を相続する人の署名と捺印だけでOKなのでスムーズに手続きできるでしょう。

軽自動車を相続する場合は、軽自動車検査協会で名義変更の手続きができます。

遺産分割協議書が無効となるケースと対処法

遺産分割協議書が無効となるケースと対処法

せっかく遺産分割協議書を作成しても、残念ながら無効となる場合があります。よく見られるケースとして「遺言書が出てきた」ことが挙げられます。

遺言書が出てきた場合は、原則として遺言どおりに遺産分割をしなくてはいけませんので、遺産分割協議自体が不要となります。したがって遺産分割協議書も無効となります。

そのほかにも、下記のケースで遺産分割協議書が無効となるケースが考えられます。

  • 相続人全員の参加がない場合
  • 判断能力が不十分な相続人が遺産分割協議に参加していた場合
  • 内容に誤りがある場合
  • 合意内容に公序良俗に反する条項が記載
  • 特別代理人の選任を怠った
  • 遺産分割協議書の署名が捏造されている

それぞれのケースについて解説するとともに対処法も見ていきましょう。

相続人全員の参加がない場合

遺産分割協議は、相続人全員の参加が絶対条件です。相続人が1人でも欠けている状態の協議は無効であり、その協議によって作られた遺産分割協議書も無効となります。

もし相続人が行方不明で、全員の参加が難しい場合は家庭裁判所に相談しましょう。場合によっては家庭裁判所が選任する不在者財産管理人に参加してもらうことで、協議を進めることができます。

内容に誤りがある場合

遺産分割協議書の内容に記載間違いや記載漏れがあった場合、無効となります。間違えた内容にもよりますが、訂正することも可能です。

訂正方法
間違いがある箇所に二重線を引き、近くに正しい文字を書く
二重線に重ねて、もしくは訂正箇所付近に印鑑を押す

このとき、間違えた内容が被相続人の情報や遺産の内容などだった場合は、相続人全員に影響を与えるため、相続人全員の印鑑が必要です。

間違えた内容が相続人の情報だった場合は、該当する相続人の印鑑だけでOK。相続人の情報に誤りがあっても、ほかの相続人に影響を与えることはないためです。

合意内容に公序良俗に反する条項が記載

遺産分割協議が合意に至ったとしても、合意内容に公序良俗に反する条項が含まれていた場合は無効となります。

公序良俗に反する内容の例として

  • 被相続人が所持していた麻薬を分割して相続する
  • 相続人〇〇が預貯金を相続する代わりに相続人〇〇は相続人××の経営する会社に3年間無償で働く

などが挙げられます。

無効となるのは公序良俗に反する条項のみですが、この条項が無効になることで遺産分割の結果に大きく影響する場合は、遺産分割協議書そのものが無効となることもあります。

遺産分割の内容が公序良俗に反しないか、よく注意して決めることが大切です。

特別代理人の選任を怠った

相続人の中に未成年の子がいてその親も相続人である場合は、親と子の利害がたがいに反する関係になるため親が子の代理人として遺産分割協議に参加することはできません。

その場合は家庭裁判所に特別代理人の選任を請求する必要があります。もしこの請求を行わず親が子の法定代理人として遺産分割に同意しても、無効となります。

親であっても、同じ相続人である場合は法定代理人になり得ないことを踏まえ、特別代理人を立てることを怠らないようにしましょう。

遺産分割協議書の署名が捏造されている

遺産分割協議書への相続人の署名は本人の直筆が原則ですが、本人の同意があれば代筆が可能であり、この場合は無効とはならないケースもあります。

しかし、本人の同意なく無断で署名した場合や、あるいは本人が同意したとしてもその判断能力が問われる場合は無効となる可能性があります。

誤解を招くことを防ぐ意味でも、遺産分割協議書への署名は本人の直筆で行いましょう。

遺品整理ならしあわせの遺品整理にご相談ください

遺品整理ならしあわせの遺品整理にご相談ください

遺産分割協議書は、遺産相続をスムーズに行うために必要な書類です。遺産分割協議には相続人全員で集まる必要があり、成立まで時間がかかることもあるでしょう。また煩雑な手続きに手を取られてしまうことも。

そのため遺品整理にまで手が回らないこともあるかもしれません。そんなときは「しあわせの遺品整理」にご相談ください。

当社では、遺品整理士の資格を持つスタッフが、ご遺族の気持ちに寄り添い、丁寧に対応します。

貴重品の探索にも対応しているので、遺産分割協議に必要な書類や財産を探し出すことも可能。あとになって「こんな財産があった!」と慌てることがなくなります。

遺品整理についての相談は365日年中無休で受け付けています。また相談、見積もり、キャンセルは無料。いつでもお気軽にご相談ください。

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