孤独死保険で孤独死リスクから物件を守る方法とは?保険の種類と相場も紹介
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- 特殊清掃
アパートを経営するうえで心配なことの一つに「孤独死」があります。孤独死の問題は年々深刻化しており、いつ自分に降りかかってくるかわかりません。
孤独死が発生すると、遺族や警察への連絡や手続きで時間が取られるだけでなく、清掃や原状回復にかかる費用、家賃の損失などの心配もしなくてはいけません。
孤独死が増えてきたことで「孤独死に対する保険」を提供する保険会社が増えてきました。
この記事では以下をメインに解説します。
孤独死保険について
孤独死保険には「家主向け」と「入居者向け」の2つのタイプがあります。家主向けの保険は単独タイプで、原状回復から家賃損失までをカバーします。契約者は家主となります。
入居者向けは入居時に加入する火災保険(家財保険)の特約です。原状回復、遺品整理の費用に使用でき、契約者は入居者です。
孤独死による損失と孤独死保険による補償
孤独死により物件の原状回復費用、残置物撤去の費用がかかります。また家賃損失もあるでしょう。原状回復費用は平均損害額が約47万円というデータも。対して原状回復費用に支払われた平均保険金額は約31万円です。補償範囲や期間は加入している保険や状況によって変わります。
孤独死は決して遠い問題ではありません。そのためにも孤独死に対応している保険に加入しておくことは、家主の心構えともいえるでしょう。この記事を読んで、孤独死保険に対する理解を深めてください。
目次
アパート経営で増加する孤独死の現状
特に単身者の多いアパートを経営してる場合、孤独死の問題は気になるでしょう。若者であっても孤独死のリスクはあり、たとえ若い人が多いアパートであったとしても油断はできません。
ここでは孤独死の現状を紹介、それにより起こりうる問題についても解説します。
孤独死の発生件数の推移
引用:内閣府
東京都観察医務院が公表しているデータでは東京23区内における65歳以上の方が自宅で死亡していた、いわゆる孤独死の件数は年々増加しています。
また一人暮らしをしている60歳以上の方のうち約50%が、孤立死や孤独死を身近な問題として感じているというデータもあり、孤独死を自分事として考える方が増えています。
若い世代にも孤独死のリスクはある
一般社団法人少額短期保険協会の調査によると、孤独死の平均年齢は62.8歳。全体の47.5%が64歳以下の現役世代というデータがあります。
29歳以下の若年層も3.2%おり、孤独死が決して高齢者だけの問題ではないことを大きく物語っています。
入居者に高齢者がいなくても、他人事ととらえていられないのが現実です。
孤独死の発生で物件の資産価値は低下
孤独死が発生した物件の資産価値は、10%~30%、多いときで50%の資産価値の低下が考えられます。
低下のパーセンテージに差があるのは、孤独死が起こった状況や部屋の状態によって変わるためです。
一例として、死因が病死の場合は10%~20%、自殺の場合は20%~30%の資産価値低下が相場。発見までに時間がかかり、部屋に損害が出ていた場合も、資産価値が下がる要因となります。
資産価値を下げないためには特殊清掃やリフォームによって、原状回復以上にすること。費用はかかりますが、大きく価値を下げず売却できる可能性があります。
ただし賃貸物件の場合、特殊清掃を行うと事故物件となってしまい、告知義務が発生します。それにより家賃損失が出やすくなってしまうでしょう。
孤独死保険の2つのタイプと特徴
孤独死に対応している保険には、家主向けの保険と入居者向けの2タイプがあります。簡単にいうと、家を貸す側がかける保険と家を借りる側がかける保険です。
家主向け | 契約者は賃貸物件の大家さん 大家さんが補償を受ける |
入居者向け | 契約者は賃貸物件の入居者 入居者の遺族、相続人が補償を受ける |
「家主向け」、「入居者向け」ともに、補償内容は保険会社の商品によっても違います。比較し、よく検討して選びましょう。
家主向け保険の内容
家主向け保険の内容は以下の通りです。
- 原状回復費用の補填
- 遺品整理費用
- 家賃保証
孤独死は発見までに時間がかかることが多く、部屋に匂いがしみつく、汚れや害虫の発生などが起こる可能性があります。原状回復には特殊清掃やリフォームが必要になることもあり、多くの費用がかかります。保険ではその費用が補填されます。
また孤独死した入居者に遺族や相続人がいなかった場合、遺品整理が必要なことも。処分費用の補填にも使えます。
大きな問題として、次の入居者が決まるまでに時間がかかってしまう点が挙げられます。家主向け保険は、この間の家賃補償があることが特徴です。
家主向けの保険の保険料は月額にすると1室あたり数百円程度です。基本的に1室にだけかけることはできません。
月額保険料が1室あたり300円とした場合、10室あれば1ヶ月3,000円となり、年間の保険料は36,000円です。この保険料は、家主の負担となります。
入居者向け保険の内容
入居者向け保険は、入居時に加入する火災保険(家財保険)の特約として契約します。保険料は入居者が支払うため、大家さんの負担はありません。
- 原状回復費用
- 遺品整理費用
入居者向けの保険の場合、家主に保険請求の権利はなく、請求は原則として入居者の相続人が行います。そのため相続人がいない場合、保険料が支払われず修復費用を負担しなくてはいけない可能性があります。
また入居者向けの保険の場合、家賃損失に対する補償はありません。空き室の期間が長くなれば、それだけ負担となってしまいます。
それぞれの補償範囲の違い
家主向けの保険と入居者向けの違いをまとめました。
家主向け | 入居者向け | |
---|---|---|
保険の種類 | 費用保険(単独保険) | 家財保険(特約) |
保険の契約者 | 家主/管理会社 | 入居者 |
被保険者 | 家主/管理会社 | 入居者 |
補償内容 | ・原状回復費用 ・遺品整理費用 ・家賃損失 | ・原状回復費用 ・遺品整理費用 |
保険料の設定 | ・1戸あたりの定額 ・家賃総額からの算出 | 入居時に加入する家財保険に含まれる |
表を見てもわかるように、家主向けと入居者向け保険の補償の違いは家賃損失に対する補償です。家賃損失が心配な家主さんは、家主向け保険に加入しておくとよいでしょう。
入居者向け保険の場合、入居者の死後、保険を請求できるのは遺族や相続人です。しかし保険によっては遺族・相続人がいなかった場合、家主が請求できるものあるので、心配な場合はこのポイントを確認しておくとよいでしょう。
孤独死保険の相場
家主さん向けの孤独死保険の相場は、1戸あたり1ヶ月200円~400円です。ただし1棟単位あるいは数戸まとめて加入する必要がある場合がほとんどです。
保険料の設定は会社や保険の内容によって違います。いくつか保険商品の保険料を紹介しますので、それぞれの違いを確認してみてください。(2024年12月現在)
紹介する内容はあくまで一例であり、条件により異なる場合があります。
アイアル少額短期保険「無縁社会のお守り」
アイアル少額短期保険の「無縁社会のお守り」は、加入する戸数によって保険料が変わります。加入戸数が多いほど安くなるのが特徴。
所有している賃貸住宅戸室すべてで申し込む必要があり、一部の棟や戸室を選択して加入することはできません。
月払い | 一時払い | |
---|---|---|
4~19戸 | 390円/戸 | 4,680円/戸 |
20~49戸 | 340円/戸 | 4,080円/戸 |
50戸以上 | 280円/戸 | 3,360円/戸 |
公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会「賃貸経営サポートプラン」
日本賃貸住宅管理協会の「賃貸経営サポートプラン」は。支払い限度額によって保険料が設定されています。
所有している賃貸物件において全戸加入する必要があり、物件のうち数戸だけの加入はできません。
支払い限度額 | 月払い | 年払い |
---|---|---|
100万円 | 240円/戸 | 2,880円/戸 |
200万円 | 400円/戸 | 4,800円/戸 |
300万円 | 550円/戸 | 6,600円/戸 |
あそしあ少額短期保険「大家の味方」
あそしあ少額短期保険「大家の味方」の保険料は、(月額家賃の1棟の合計×1.22%)+(2,750×1棟の戸数)で算出されます。
月額家賃の1棟ごとの合計×1.22%では、家賃の補償を、2,750円×1棟の戸数では修繕費用の補償を目的としています。
例 | 保険料 | 1戸あたりの保険料 |
---|---|---|
1棟の戸数が3戸で家賃の総額が200,000円の場合 | 10,150円/年 | 282円/月 |
1棟の戸数が10戸で家賃の総額が500,000円の場合 | 33,600円/年 | 280円/月 |
大家が負担する孤独死による損失金額とは?
孤独死が起こってしまった場合いったいどのくらいの損失となってしまうのか、想像するのは難しいでしょう。孤独死の損害額は状況によって大きく違い、費用の幅は広くなってしまいます。
- 病死による原状回復費用
- 特殊清掃にかかる費用
- 遺品整理と残置物撤去にかかる費用
- 事故物件となった場合の家賃損失
上記について解説します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
病死による原状回復費用
原状回復とは、借主の過失等で傷や汚れなどが発生したときに、修繕やクリーニングをすることを指します。孤独死した場合、原状回復にかかる費用は、以下の通りです。
平均損害額 | 474,170円 |
最小損害額 | 3,300円 |
最大損害額 | 4,546,840円 |
原状回復義務は、借主の故意や過失によって発生します。しかし病死の場合、故意や過失とはいえないため、遺族や相続人に対し原状回復費用を請求しても認められないことも。
清掃やリフォームなどの負担は家主が負うことになります。表に示した通り、原状回復費用の平均額は474,170円。損害の大きさによっては100万円を大きく超えることもあります。
特殊清掃の費用
孤独死の場合、遺体の発見が遅れてしまうと部屋に匂いがついてしまったり、壁や床に体液や血液が染み込んでしまったりします。
通常の清掃ではきれいにすることは難しく、内装工事が必要になることも。そんなときに行うのが、特殊清掃です。
特殊清掃を業者に依頼したときの費用相場は部屋の間取りによっても違いますが、50,000円~600,000円です。
間取り | 料金相場 |
---|---|
1R~1K | 50,000円~100,000円 |
1LDK~3LDK | 70,000円~300,000円 |
4LDK以上 | 220,000円~600,000円 |
特殊清掃は、部屋の清掃のほかに、消臭や汚物撤去などの作業も行います。作業別の料金相場は下記の通りです。
作業内容 | 料金相場 |
---|---|
床上清掃・浴室清掃 | 30,000円~ |
汚物撤去 | 20,000円~ |
害虫駆除 | 10,000円~ |
消臭剤・脱臭剤の散布 | 10,000円~ |
オゾン脱臭 | 30,000円~50,000円/日 |
現場の状態によって、作業時間や作業人数が大きく変わるため、相場も幅があります。費用は目安ととらえ、依頼する際は正確な見積もりを取ってください。
遺品整理と残置物処理の費用
部屋に残された品の整理や残置物の処理にも費用はかかります。日本少額短期保険協会の調査によると、残置物撤去にかかる費用は以下の通りです。
平均損害額 | 295,172円 |
最小損害額 | 1,080円 |
最大損害額 | 1,913,210円 |
大型家具や大型家電がある場合、撤去するだけでも費用がかかります。また運搬費用も必要。通常のゴミの量も多い可能性があります。
残置物処理は時間もお金もかかるため、信頼できる業者に依頼するとよいでしょう。
事故物件となった場合の家賃損失
病死あるいは事故死によって孤独死しただけでは事故物件とはなりません。しかし発見までに時間を要し、特殊清掃を行った場合は事故物件扱いとなります。
事故物件になってしまった場合には、告知義務が生じます。そのためなかなか次の入居者が決まらなかったり、家賃を下げたりする必要が出てくるでしょう。つまり家賃損失です。
日本少額短期保険のデータでは、家賃保証の平均損害額は317,085円となっています。孤独死が起こってしまった場合、これだけの損害が出てしまう可能性があります。
孤独死保険で補償される具体的な内容
原状回復のために特殊清掃やリフォームを行った費用が補償されるのが原状回復費用です。しかし必ずしも全額補償されるわけではありません。保険の内容や状況によって変わってきます。
原状回復費用に対し支払われた保険金は以下の通りです。
平均支払保険金 | 315,349円 |
最小支払保険金 | 3,300円 |
最大支払保険金 | 2,004,101円 |
病死だった場合、入居者の遺族や相続人が支払うことになりますが、一般的な原状回復のみです。
発見までに時間がかかり、特殊清掃やリフォームが必要になった場合の費用は含まないのが原則です。そのため、それらの費用は家主が支払うことになります。
家賃収入の補償期間
家賃収入の補償期間は保険によって違いますが、事故の発生日から6ヶ月~12ヶ月です。保険によっては、空き室期間の家賃を補償するだけでなく、原状回復後に値下げした家賃損失に対して補償されることも。
孤独死の原因が病死や事故死だったとしても、特殊清掃を行った場合は事故物件として告知義務が生じます。
事故物件となってしまった場合は家賃を下げることが多いので、値下げした家賃損失に対する補償がある方がよいでしょう。
また物件内で孤独死が発生した場合でも、病死や事故死であり、発見が早く特殊清掃が必要なかった場合は事故物件とはなりません。また特殊清掃から3年を経過した場合、事故物件ではなくなります。
特殊清掃の補償範囲
特殊清掃では、特殊な薬剤を使った清掃や消臭・脱臭、害虫の駆除のほか、汚損した床や壁の撤去・修繕なども行います。遺品整理は補償の範囲外となるため気を付けましょう。
特殊清掃の費用は原則として遺族や相続人、連帯保証人が支払いますが、加入している火災保険で賄えるケースがあります。
というのも、火災保険は火災のみでなく水漏れや盗難等さまざまな事故に対し補償をする保険です。
火災保険が適用されるケースには「入居者が孤独死し、部屋に悪臭が発生した」、「発見が遅れたために家財が汚損した」などがあります。
火災保険は入居時に入居者が加入しています。特殊清掃が補償範囲に該当するか確認しておくとよいでしょう。
孤独死による特殊清掃・遺品整理はしあわせの遺品整理にお任せください
入居者が孤独死した場合、遺族や相続人がいないこともあるでしょう。そのため、家主がすべての費用を負担しなくてはならないケースもあります。
仮に特殊清掃が必要になると事故物件扱いとなり、家賃を下げざるを得ないことも。さまざまな費用がかかり、損失も大きくなります。
孤独死が発生した際に使用できる保険に加入していれば、負担を軽減でき安心です。
もしも孤独死が発生してしまい、業者の力が必要になったら「しあわせの遺品整理」にご依頼ください。
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