生活保護受給者が死亡..。すぐやるべき手続きと流れ・費用負担・責任まで解説

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生活保護受給者が死亡..。すぐやるべき手続きと流れ・費用負担・責任まで解説

生活保護を受けていた家族や知人が亡くなったとき、何から始めればいいのか分からず戸惑っていませんか。

葬儀の費用は誰が負担するのか、福祉事務所への連絡はどうすればよいか、住んでいた賃貸住宅の退去や遺品整理は誰が行うのか…こうした手続きは通常のケースとは異なり、生活保護制度ならではの注意点が数多くあります。

本記事では、死亡後に必要な手続きの流れや注意点、よくある質問まで丁寧に解説します。

葬祭扶助の制度や相続放棄の判断・アパートの退去費用・遺品整理の責任などを知りたい人は、ぜひ最後までお読みください。

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生活保護受給者が亡くなった直後の手続きと葬儀の流れ

生活保護を受給していた方が亡くなった場合、どこに連絡を取るかや、いつまでに何をすべきか迷ってしまいますよね。

ここでは死亡を確認した直後から葬儀の手配・受給停止・葬祭扶助の申請・火葬完了までの一連の手順を、時系列で見ていきましょう。

死亡直後に最初に連絡すべき窓口

死亡を確認した直後に以下の関係機関・関係者へ速やかに連絡を入れる必要があります。

  • 担当の福祉事務所またはケースワーカー
  • 地域の民生委員や地域福祉担当者
  • 親族(可能であれば子・兄弟・甥姪など)
  • 賃貸アパートの大家・管理会社
  • 施設関係者

遺体を発見した第三者の場合は、まず発見者が必要に応じて警察に連絡を入れ、その後福祉事務所へ伝わるのが一般的な流れです。

また状況に応じて、誰に連絡するべきかが変わるため、以下のポイントを押さえておくと対応がスムーズになるでしょう。

状況・立場最初に連絡すべき相手
故人の親族が把握できる子・兄弟・甥姪など近親者
故人が賃貸住宅に居住大家または管理会社
施設入居中だった施設の管理者または職員
発見者が第三者発見者が警察へ通報する

死亡直後は動揺や混乱が生じやすいため、あらかじめ誰がどう対応するかを共有しておくと安心できます。

特に身寄りがいない、あるいは親族と連絡が取れない場合、大家や管理会社、施設が代理で手続きを進めるケースも。

連絡先をメモしておくなどしておくと役立ちます。最初の連絡を怠ると、葬儀の手配や福祉事務所での葬祭扶助申請が遅れてしまうため注意しましょう。

遺体放置や遺品の散逸、アパートの原状回復問題などトラブルに繋がる可能性があります。

福祉事務所とケースワーカーへの連絡

まず亡くなった方がどの福祉事務所の管理下にあったかを確認し、担当のケースワーカーに速やかに連絡しましょう。電話でも構いません。

もし担当者が分からない場合は、住んでいた市区町村の福祉事務所へ問い合わせ、死亡届の提出及び葬祭扶助の相談である旨を伝えて案内を受けてください。

ここで連絡を入れることで、葬儀手続きや保護費の停止、受給者証の返納などの一連の流れがスタートします。

民生委員への報告も忘れずに

特に高齢者であったり、身寄りが少ない人の場合、地域の民生委員や自治体の地域福祉担当者に報告を入れておくとよいでしょう。

地域福祉ネットワークの一員として、遺体の安置場所や遺品整理・火葬までの手配支援などの支援につながる可能性があります。

遺族が遠方であったり、関係が希薄だったりする場合、そもそも葬儀や供養が行われないまま放置されるリスクも。地域の目を借りられるようにしておくと安心感が違います。

立場別の連絡先(親族・大家・第三者の場合)

親族がいる場合はまず親族への連絡を優先すべきですが、もし親族が不明・連絡先不明・所在不明であるなら、以下のように対応先を整理しましょう。

状況連絡先・対応内容
賃貸住宅に居住していた場合             大家または管理会社へ連絡。原状回復や遺品整理の相談を行う
施設に入居していた場合施設管理者に死亡の確認と、遺体の引き取り・葬儀手配の可否を確認する
遺体を第三者が発見した場合             発見者 → 必要に応じて警察通報 → その後、福祉事務所へ連絡

最初の連絡先を状況に応じて明確にしておくと、葬儀の手配・火葬場や搬送の手配・部屋の原状回復、遺品整理などの作業が円滑に進みやすくなります。

死亡診断書の取得と死亡届の提出

故人の死亡を法的に確定させるには、医師による死亡診断書の取得と、家庭裁判所または市区町村役所への死亡届提出が欠かせません。

特に死亡届は法律上、死亡を知った日から7日以内の提出が義務付けられています。期限を過ぎると戸籍の抹消や葬儀・相続・受給停止の処理に支障が出る可能性があるため注意しましょう。

まず死亡診断書は通常、病院で亡くなった場合には病院側が発行します。自宅やアパートで亡くなった場合には、往診医や救急医療、あるいは警察との調整により医師の診断が行われるケースも。

医師がいないと死亡診断書は発行されず、死亡届を受け付けてもらえない恐れがあるため、早急に当直医や救急・警察に連絡を。

診断書の原本がなければ、葬儀はもちろん戸籍手続きや葬祭扶助の申請にも支障が出ます。

次に、死亡届です。提出先は、死亡地の市区町村役所または故人の本籍地の役所です。必要書類として死亡診断書原本・届出人の身分証明書・印鑑・届出用紙があります。

自治体によっては死亡診断書のコピーで受け付ける場合もありますが、事前に確認をおすすめします。

届出できる人は、配偶者・親族・同居者・家主(賃貸)・施設の長、あるいは実際に死亡を確認した人などに限定される点を覚えておいてください。

親族が遠方で連絡がつかない時や、あるいは身寄りがない場合は家・管理会社や施設が届出人になるケースも。

その場合「届出人資格」が自治体で認められているかどうかを事前に確認するとよいでしょう。

死亡届提出が遅れると、戸籍への記載や健康保険、年金・社会保険の資格変更・相続手続きなどに影響が出ます。

また葬祭扶助の申請や福祉事務所への報告にも悪影響となるケースがあるので、死亡診断書を入手したら速やかに届出を行ってください。

死亡届は7日以内に提出が必要

日本の戸籍法および市区町村の条例では、死亡を知った日から7日以内に死亡届を提出が必要です。

死亡届は法的な義務であり、遅れによる罰則はありませんが、戸籍の整備や保険・年金手続き・相続・住居の名義変更などに悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

葬祭扶助や受給停止のような行政手続きも、死亡届が受理されて初めて本格的に動き出すため、余裕をもって早めの提出を心がけるとよいでしょう。

死亡届の提出先と必要書類

届出先は、原則として死亡地の市区町村役所または、故人の本籍地の役所です。必要な書類は以下の通りです:

  • 死亡診断書(医師による死亡が確認されたもの)
  • 届出人の身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 届出人の印鑑
  • 死亡届用紙(自治体で配布)

一部自治体では、死亡診断書のコピーでも受け付ける例がありますが、原本を求められるかもしれません。そのため医療機関や受け取り窓口で、原本を受け取るよう手配してください。

なお届け出後に副本を含む控えを受け取ることで、火葬許可の申請や役所での手続きに必要な証明として使えます。

提出できる人の範囲を確認する

死亡届を提出できるのは法律で定められた範囲の人に限られます。具体的には、配偶者や親族(子、兄弟、甥姪など)・同居者・賃貸であれば家主・管理会社など。

また施設入居であれば施設の長、そして実際に死亡を確認した人などです。親族が遠方で連絡がつかない、または身寄りがまったくない場合は、大家や施設側が届出人になるケースもあります。

しかし多くの自治体で届出人として認められるかを事前に確認する必要があります。

もし認められなければ、死亡届提出およびその後の葬儀・火葬に進めない可能性があるため、注意しながら判断してください。

生活保護の受給停止手続き

故人が亡くなった時点で受給資格は当然消滅します。しかし福祉事務所に正式な死亡報告をせずに放置すると、未払い分・誤給付扱いや、不正受給とみなされるリスクも。

そのため受給停止処理と受給者証の返納・過払いがあった場合の返還の有無を確認し、適切に手続きを進めましょう。

まず死亡の連絡をケースワーカーに入れると、福祉事務所が自動的に受給停止の処理を開始します。この際、故人の受給者証が手元にあれば、速やかに返納しましょう。

郵送でも直接持参でも構いませんが、返納した記録として返納証明書などを受け取っておくと確実です。

返納が遅れると後々不正受給の疑いをかけられる可能性があるため、要注意です。

次に死亡直前まで支給されていた生活保護費は、故人の生活費として認められるため、通常は返還不要とみなされます。

一方で、死亡後に誤って振り込まれた保護費があれば、それは過払い扱いとなり、福祉事務所から返還を求められる場合もあるでしょう。

たとえば給付手続きのタイミングと口座振込のズレが原因となることがありますので、口座に不明な振込があったかどうかを確認したうえで、速やかに返納しましょう。

なお受給停止や返納、過払いの返還などすべての手続きはケースワーカーとの連絡が前提です。

自己判断で保留したり放置したりせず、きちんと窓口で確認を済ませるのがポイント。後日の負担やトラブルを避けられます。

受給者証の返納方法と返納先

受給停止手続きをスムーズに進めるため、故人の受給者証は福祉事務所へ返納します。返納方法には、福祉事務所へ直接持参する方法と、郵送で返送する方法の二通りから選びましょう。

どちらを選ぶにせよ、返納後は返納証明書や返済完了通知などの控えを受け取っておくほうが安心です。

将来にわたって「すでに返納済み」であることを証明できるため、不正受給の疑いを避けられるでしょう。

返納が遅れた結果、後日「継続受給中」とみなされ不当受給とされる例もあるため、できる限り迅速な対応をおすすめします。

未支給の生活保護費はどうなるのか

仮に故人の死亡前にすでに支給されていた生活保護費、あるいはその月分については、たとえ未使用であっても返還不要と判断されるのが一般的です。

理由はその月の最低限の生活を保障するためのものであり、故人が生存していた期間分については本来の用途に沿っていたとみなされるため。

しかし口座から引き落とされていた公共料金や家賃が未払いで残っている場合は、遺族や相続人がそのまま責任を負う可能性がありますので注意しましょう。

死亡後に振り込まれた保護費の扱い

福祉事務所側の振込手続きのタイミングと銀行の処理がずれていた場合、死亡後に誤って保護費が振り込まれてしまう可能性があります。

過払い分については、原則として返還が求められるでしょう。メールや電話で福祉事務所に連絡し、返還方法と期限について指示を仰いでください。

多くの場合、銀行口座への返金か、指定窓口での現金返納になるのが一般的です。案内された方法で速やかに手続きを完了させましょう。

葬祭扶助制度の申請(葬儀前に必須)

故人が生活保護受給者だった場合、葬祭扶助を利用すれば、葬儀費用の公費負担を受けられる可能性があります。

ただし、葬祭扶助制度の申請は葬儀開始前に行う必要がある点に注意。死亡後すぐに福祉事務所や担当ケースワーカーに連絡を取り、申請の手続きを進めましょう。

葬祭扶助とは、生活保護を受けていた人が亡くなり、遺族が経済的に余裕のない場合に、最低限の葬儀(火葬・搬送・骨上げなど)を自治体または国費で支援する制度です。

遺族がいない、あるいは遺族が経済的に困窮しているケースでは、葬儀の実行責任を持つ人が申請できる場合もあります。例えば以下の人です。

  • 大家
  • 管理会社
  • 施設職員

また申請の条件として、以下の点も覚えておきましょう。

  • 故人の受給資格が有効であったこと
  • 遺族または実行者の所得・資産が一定以下であること
  • 葬儀の必要性が認められること

特に身寄りがない、あるいは遺族が経済的に厳しい場合は、唯一の葬儀の手段になるケースも多いため早期の申請が欠かせません。

申請書類は、市区町村の福祉事務所や担当ケースワーカーからも受け取れます。記入の際は、故人の情報(受給者証番号、死亡日、死亡地)・申請者の情報・葬儀の希望形式(火葬のみか、最低限の葬儀か)などを正確に記載しましょう。

加えて、遺族または申請者の所得・資産状況を示す書類(住民票、年金受給証明、預貯金通帳の写しなど)が求められることもあります。

誤りや記入漏れがあると、扶助が認められないか、その後返還を求められる可能性がありますので、慎重に記入しましょう。

葬祭扶助とはどんな制度か

葬祭扶助は、生活保護受給者が亡くなった際に、その葬儀を経済的に支援する国または自治体の制度です。

遺族や申請者が資力が乏しい場合に限り、火葬費用・搬送料・骨上げ・火葬場使用料など、最低限の葬儀費用を公費でまかなえるようになっています。

葬祭扶助制度によって、遺族や関係者に過剰な負担がかからず、故人を尊厳をもって見送るのが可能になるでしょう。

申請できる人の条件を確認

申請対象となるのは、故人が葬儀時点で生活保護を受給中であったこと、遺族または葬儀の実行者の資力が一定以下であることです。

遺族がいない、または遺族がいても経済的に困窮している場合は、大家・管理会社・施設職員など葬儀を取り仕切る人が申請者になるケースがあります。

どの関係者が申請できるかは自治体によって異なる場合があるため、福祉事務所に事前に確認してください。

絶対に葬儀前に申請しなければならない理由

葬儀開始後に葬祭扶助を申請しても、支給対象と認められないことが多いです。というのも、支援は葬儀を行う予定を条件に審査されるからです。

すでに葬儀が終わってからの申請では、公費支援の対象外とされる可能性があるため注意しましょう。

したがって、葬儀の打ち合わせや搬送、火葬場の予約をする前に、必ず福祉事務所へ申請を済ませるのが安全です。

申請書類の入手先と記入のポイント

申請書類は市区町村の福祉事務所、または担当ケースワーカーから入手できます。記入時の重要なポイントは以下の通りです。

  • 故人の受給者証番号、死亡日、死亡地などの情報を正確に記載
  • 葬儀希望の形式(火葬のみ、最低限の葬儀など)を明記
  • 申請者(遺族または実行者)の氏名・住所・連絡先を漏れなく記入
  • 申請者の所得・資産状況を証明する書類を添付
  • 記入漏れや誤記がないようチェックを重ねる

不備があれば扶助が認められないか、後日返還を求められる可能性があります。初めて申請する場合でも、ケースワーカーに助言を受けながら慎重に記入するのが大切です。

支給される金額と葬儀の内容

葬祭扶助が認められた場合、どのくらいの金額が支給され、どのような内容の葬儀が可能か気になりますよね。

一般に葬祭扶助制度は、最低限の火葬を行うための費用を賄うレベルの支援が前提であり、華美な葬儀や通夜・告別式、会食、返礼品などは含まれないケースが多いです。

多くの自治体では、支給される金額は故人の年齢や自治体の基準によって異なります。たとえば大人であれば数万〜十数万円、子どもであればそれより若干低めが一般的です。

ただし自治体ごとの違いがあるため、お住まいの地域の福祉事務所で基準を確認する必要があります。

葬儀の形式としては、通夜や告別式を行わず、火葬のみ(直葬)で済ませるのが基本です。これにより、祭壇・会食・返礼品など費用がかさむ要素を省略できます。遺族が少ない、または身寄りがないケースでは、直葬が最も合理的といえそうです。

なお香典を受け取るのは可能ですが、自治体や葬儀業者によって取り扱いが異なるため、申請時や葬儀の打ち合わせ時に担当ケースワーカーへ確認をとりましょう。

受け取った香典が扶助の支給内容に影響するかどうかは地域によって異なるため、事前確認が重要です。

大人と子供で支給額が異なる

支給される葬祭扶助の額は、故人の年齢や自治体の規定によって異なります。多くの自治体で、大人の場合は基準額が設定されており、子ども(未成年)の場合はその基準より低めに設定されるのが一般的です。

理由は火葬費用や骨上げの必要性が異なる点、また宗教儀礼や棺のサイズなどでコストに差があるためです。

したがって、申請の際には自治体の基準表を確認のうえ、該当する年齢区分を正しく申告しましょう。

直葬(火葬のみ)が基本となる

葬祭扶助が認められた場合、基本的な形は通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う直葬が前提となります。

祭壇や僧侶の手配・通夜振る舞い・会食・返礼品などは扶助の対象外であるケースが多いため、簡素な形での見送りが基本です。

通夜・告別式を希望する場合は自己負担となるため、葬儀社と打ち合わせの段階で扶助対象の範囲を明確に伝え、費用がどこまで公費で賄われるのかを確認しておくとよいでしょう。

葬祭扶助で香典は受け取れるのか

香典を受け取ること自体は、法律や制度上は禁じられていません。ただし自治体や葬儀業者、地域の慣習によっては取り扱いが異なる可能性があります。

扶助を受けた葬儀で香典を受け取った場合、その収入が扶助の審査に影響するかどうかはケースバイケースです。

受け取る可能性があるなら、事前に担当のケースワーカーに相談し、地域や葬儀社の対応を確認しておくと安心です。

死亡から火葬までの一般的な流れ

この章では、死亡確認後から火葬完了まで、どのような手順で葬儀が進むのかを具体的にイメージしやすいよう時系列で整理します。遺族や関係者は今後の流れを把握し、必要な準備や連絡を漏れなく行えるでしょう。

主な流れは以下の通りです。

  • 葬儀社への連絡と打ち合わせ
  • 火葬場の手配および火葬の立ち会い/火葬後の遺骨の受け取り
  • 費用の支払い手続き(多くは福祉事務所から葬儀社への直接支払い)

まず死亡届と葬祭扶助の申請を終えたら、葬儀社に連絡して搬送・火葬の依頼をします。その際、生活保護受給者で葬祭扶助利用希望である点を伝えておくと、葬儀社側も福祉事務所との連携や最低限の火葬プランの提示をスムーズに進めやすくなるでしょう。

特に身寄りがいなかったり、遺族が遠方で参列が難しかったりする場合は、葬儀社に代理で火葬から骨上げまで任せられるケースがあります。

次に火葬場の予約手配と、遺族や関係者の立ち会い希望の確認を行います。立ち会いできない場合は、火葬だけ済ませて遺骨を保管あるいは自治体にお任せする形になるケースもあります。

遺骨の引き取り方法や保管方法については、葬儀社や福祉事務所とよく相談してください。

最後に、費用の支払い手続きです。多くの自治体では葬祭扶助を利用した場合、福祉事務所が葬儀社に対して直接支払いを行います。

そのため遺族や申請者が現金を用意する必要は原則ありません。ただし扶助の対象外となるサービス(豪華な棺、通夜・告別式、会食、返礼品など)を希望した場合、自己負担になります。

葬儀社との打ち合わせ時に必ず扶助対象範囲を確認し、余計な費用が発生しないように注意してください。

葬儀社への連絡と打ち合わせ

担当のケースワーカーから葬儀社の紹介を受けるか、自分で葬儀社に連絡して、生活保護受給者の葬儀扱い・葬祭扶助利用希望であると伝えてください

葬儀社は搬送や火葬・骨上げなど最低限必要なサービスを案内してくれます。遺族が少ない場合や遠方の場合、代理での火葬実施を依頼も可能。

打ち合わせの段階で、火葬日・安置場所・遺骨の保管方法などを確認し、また必要であれば自治体や福祉事務所との調整についても葬儀社に仲介をお願いすると心強いです。

火葬場の手配と立ち会い

葬儀社との打ち合わせが済んだら、火葬場を予約します。遺族が立ち会うかどうかをあらかじめ決めておき、火葬許可証の取得や火葬料の支払い(扶助対象なら不要)について確認しておきましょう。

もし遺族が遠方で立ち会いできない場合、葬儀社に代理で火葬・骨上げ・遺骨の保管または引き取りを依頼できます。

その際、火葬後に遺骨を自治体に委託する、あるいは無縁仏として扱ってもらう手続きも併せて相談してください。

費用の支払い方法(福祉事務所から葬儀社へ直接)

葬祭扶助を利用する場合、多くの自治体では葬儀社への支払いは遺族を介さず、福祉事務所が直接行います。そのため遺族や申請者の金銭的負担は基本的に発生しません。

ただし、扶助対象外のサービス、例えば豪華な棺や通夜・告別式、会食、返礼品などを希望した場合、その分の費用は自己負担となりますので、葬儀社と打ち合わせをする際に、扶助対象のサービスのみである点を伝え、見積もりを明確にもらいましょう。

葬儀後は、火葬証明書・搬送料明細・葬儀完了報告書などを福祉事務所に提出する場合があるため、領収書や証明書は必ず受け取って保管を。

賃貸物件退去と遺品整理の責任は誰?

生活保護受給者が死亡した後、住んでいた賃貸住宅をどうするか、室内の遺品は誰が片づけるのかなどが分かりにくく悩みますよね。

特に、親族が遠方に住んでいたり、身寄りのない場合は、大家や管理会社・民生委員が最初に対応するケースも少なくありません。

ここでは、アパートや賃貸住宅の退去手続きと原状回復費用・遺品整理の責任が誰にあるのかを詳しく解説します。

退去費用は誰が負担するのか?

生活保護受給者が亡くなった場合、借りていた賃貸物件の退去手続きと原状回復が必要になります。以下のように、状況に応じて負担者が異なります。

状況負担者の例備考
相続人がいる場合相続人(例:子、兄弟)相続を承認した場合のみ。相続放棄した場合は対象外
相続放棄された場合大家が負担する可能性実際はトラブルになりやすく、処分保留も多い
故人の預貯金がある場合遺産から支払う相続人が支払い後に回収するケースも
連帯保証人がいる場合保証人が負担保証契約の内容により異なる

原則として、相続人がいる場合は相続を受ける=財産も債務も引き継ぐため、退去費用や原状回復費もその対象となります。

ただし相続放棄をすればその責任は免れます。相続放棄をすると基本的に部屋の片づけや費用負担義務はなくなるものの、部屋の中身は残されたままとなり、大家や管理会社が困るケースも。

トラブルを防ぐため、民法上では連帯保証人がいる場合、請求が及ぶケースもあります。

近年では、連帯保証人もいない高齢生活保護受給者の孤独死が増加。自治体や福祉事務所が葬儀までは対応するものの、退去・清掃・遺品の処理までは対応範囲外となるのが一般的です。

そのため遺品がそのまま放置され、大家と自治体が協議して対応を協議するようなケースも少なくありません。

賃貸契約時に見守りサービスや死後事務委任契約を交わしていた場合は、決められた内容に沿って対応が進みます。

遺品整理を行うのは誰?

死亡後に残された家具・衣類・日用品など、いわゆる遺品を誰が整理するかは、退去費用と同様に相続人の有無と、相続放棄の有無に大きく左右されます。

ケース遺品整理を行う主体備考
相続人が相続を承認相続人が実施家財整理、引取、廃棄などを行う責任あり
相続人が相続放棄大家または管理会社司法書士立ち合いのもと処分されることも
相続人不在・身寄りなし行政が判断・一部処分民生委員やケースワーカーの立ち合いあり
死後事務委任契約あり委任者が代行遺言に基づく処理が行われる

原則的には、相続人が財産を相続する場合、その財産に含まれる動産(家具や衣類など)の管理と処分も相続人の責任です。

ですが相続放棄した場合、その責任はなくなり、部屋に残された物品は所有者不明の動産となり、大家または物件管理者が行政と連携して対応します。

実際には、遺品整理会社に委託して処分を行うケースが増えており、その費用も相続人が負担します。ただし相続放棄された場合や身寄りがない場合は、行政が関与するケースも。

たとえば福祉事務所のケースワーカーや地域の民生委員が立ち会い、最小限の生活用品を整理・処分したうえで、市区町村の保管倉庫などに一時保管する例もあります。

また家財に資産価値がある可能性がある場合は、家庭裁判所が関与して特別代理人や清算人が財産管理を行う場合も。

放置された遺品を勝手に処分すると、後日、法的責任が発生するリスクがあるため、相続を放棄した場合でも大家や管理会社は慎重な対応が求められます。

生活保護の方が死亡して遺品整理を行うときの注意点

生活保護受給者が亡くなった場合、遺品をどう扱えばよいか、相続放棄との関係はどうなるか気になりますよね。

特に親族が遺品を勝手に処分してしまうと、意図せず相続を承認したと見なされるリスクがあります。

また生活保護費を使って遺品整理をすることは原則として認められていません。ここでは相続放棄前後の遺品整理の注意点、財産や債務の取り扱い、そして身寄りのない場合の行政対応について解説していきます。

相続放棄前に遺品を処分してはいけない

相続放棄を検討している場合、故人の遺品を勝手に処分してしまうと相続を承認したとみなされる可能性があります。理由は民法第921条に基づく、単純承認に該当する行為となるためです。

やってはいけない行為の例は以下の通りです。

  • 故人の家財や衣類、日用品を廃棄・売却する
  • 貴重品や現金、通帳などを整理して家族間で分け合う
  • 故人の口座からお金を引き出して葬儀費用にあてる
  • 賃貸物件の退去に伴い、家財を処分する

また相続放棄前にできる対応として以下を検討するとよいでしょう。

  • 必要最低限の管理(雨漏り防止、カギの保管など)
  • 家財への手をつけず保管のみ行う
  • 家裁への相続放棄申述が受理されるまで待つ
  • 司法書士や弁護士に相談のうえ対応

相続放棄をしても、清掃業者に委託して片づけを進めた等の遺品に手をつけたとみなされるような行動をしてしまうと、放棄の意思が否定されるかもしれません。

法律上の相続人と見なされる恐れがあるため注意しましょう。最悪の場合、公共料金の未納や原状回復費といった債務引き継ぐことになりかねません。

家族として当然と思ってしまうような行動でも、相続放棄の観点からはリスクのある行為となるため、家庭裁判所での申述が正式に受理されるまで、遺品に手をつけないのが大原則です。

遺品を売却すると相続を承認したことになる

遺品整理の中で、家具や家電・貴金属・現金などを売却して整理しようと思うかもしれません。しかし、状況によっては法的に相続財産の処分と見なされます。

そのため相続を承認したことになり、以後の相続放棄が認められなくなる可能性があるため注意が必要です。

売却が相続承認と見なされる理由には以下が挙げられます。

  • 民法第921条により「相続財産の全部または一部を処分した」ことが単純承認に該当
  • 売却行為は「財産を自分のものとして扱った」と判断される
  • 結果として、借金や原状回復費などの負債も引き継ぐことに

さらに特に注意すべき品目として、以下を覚えておきましょう。

項目法的リスクのある行為
現金・通帳引き出して使用すること(葬儀費用含む)
貴金属・時計・美術品売却または譲渡
家具・家電処分、リサイクル、引き取り手配

遺品の中には現金や資産価値のあるものも混在している場合がありますが、安易に手をつけてしまうと、相続放棄を希望していても認められなくなる可能性があります。

たとえば家電製品を売って遺品整理費用にあてた場合や、通帳のお金で葬儀を執り行った場合も、相続を承認した行為とされるリスクが。

相続放棄を検討している場合は、いかなる理由があっても遺品の売却は避け、まず家庭裁判所での手続き完了を待ちましょう。

生活保護費は遺品整理に使えない

生活保護受給者が死亡した際に支給されていた生活保護費を、遺品整理や家財処分の費用に使うことは原則として認められていません。

理由は以下の通りです。

  • 生活保護費は本人の最低生活費として支給されたもので、死亡後は使用権限が消滅
  • 死亡後に口座へ誤って振り込まれた場合は過払いとして返還義務が生じる可能性あり
  • 相続人が勝手に使用すると「不正使用」と見なされるリスクがある

生活保護費はあくまでも受給者本人のための給付金であり、死亡と同時にその効力は終了します。

葬儀費用であれば葬祭扶助が別途ありますが、遺品整理や部屋の清掃には別の制度や民間費用が必要となるでしょう。

使用してしまった後で、福祉事務所から返還請求が来るケースもあるため、必ずケースワーカーと連絡を取り、指示を仰ぐのがおすすめです。

身寄りのない生活保護受給者が亡くなった時の対処法に注意

近年、身寄りのない生活保護受給者の死亡ケースが増えており、いわゆる「孤独死」や「引き取り手のいない遺体」として行政が対応に追われるケースも珍しくありません。

葬儀や遺品整理・退去手続きなどを誰が行うかが明確でないため、関係者や施設・大家が困るケースが増えています。

行政が対応する場合は以下の手続きを行います。

  • 福祉事務所が葬祭扶助を活用し、直葬(火葬のみ)を手配
  • 遺品整理や原状回復は原則、物件の大家が対応(負担は自己責任)
  • 遺品の処理は、法的保管義務がないため、自治体判断で破棄されることも

また関係者が巻き込まれやすい事例は以下の通りです。

関係者想定される負担
大家・管理会社原状回復費・撤去費用
地域住民・民生委員発見・通報、初期対応
葬儀社行政からの依頼で最低限の火葬

身寄りがないと対応が曖昧になりがちです。しかし実際には福祉事務所と葬儀社が最低限の対応を行い、その後の部屋の処理や遺品は残された関係者に任されます。

近年では「死後事務委任契約」などを利用し、生前に自分の死後の対応を第三者に任せる動きも。

身寄りのない高齢者が増える中、制度の整備と合わせて、関係者の法的負担を明確にすることが今後の課題と考えられるでしょう。

生活保護の方が死亡したとくによくある質問

ここでは、よくある質問をテーマ別に整理し、法的リスクや注意点をわかりやすく解説していきます。知らずに損をする前に、必ず確認しておきましょう。

相続放棄を検討すべきケースは?

生活保護受給者が死亡した際に相続人が知っておくべき最初の判断が「相続放棄をするかどうか」です。以下のような状況に該当する場合、相続放棄を検討するのが安全とされています。

  • 故人に借金がある(公共料金滞納、カードローンなど)
  • アパートの原状回復費用や退去費用が高額になりそう
  • 財産よりも負債が明らかに多い
  • 身内で引き取りを希望する人がいない
  • 遺品の整理や撤去を望まない

ただし以下の注意点を覚えておきましょう。

  • 相続放棄の申述は死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所で行う必要あり
  • 遺品や財産に手をつけてしまうと放棄できなくなる場合あり
  • 連帯保証人が別にいる場合は、その人に請求が及ぶ可能性も

生活保護受給者が死亡した場合、預貯金や財産がほとんどないケースが多く、賃貸契約の退去費用や未払いの公共料金などが残っている可能性もあります。

うっかり相続してしまうと、経済的負担がのしかかるリスクもあるでしょう。

相続放棄を選択すれば、財産・債務ともに一切の権利義務から解放されますが、手続きを誤ると放棄が認められないこともあるため、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。

賃貸物件の退去費用の相場と負担者は?

故人が賃貸住宅に居住していた場合、退去手続きと原状回復が必要になります。その際、誰が費用を負担するのかが問題になります。

退去費用の相場は以下の通りです。

  • 一般的な原状回復費用…5万〜15万円
  • 清掃・不用品撤去費用…3万〜10万円
  • 特殊清掃が必要な場合…10万〜30万円以上

また費用負担者と判断の目安は以下の通りです。

状況負担者の可能性
相続人が相続を承認した相続人
相続放棄がされた原則大家が対応(実費)
連帯保証人がいる保証人に請求されることも
故人に預貯金がある預金から支払い可能だが、相続人の承認が前提

退去費用は基本的に相続人が負担しますが、相続放棄をすればその責任は免れます。ただし相続人が放棄しても連帯保証人がいる場合は、保証人に請求が及ぶケースも。

高齢の単身生活保護受給者の場合、保証人を立てず入居していることも多く、最終的には大家や管理会社が撤去・清掃を実施する可能性が高いでしょう。

自治体によっては生活困窮者支援の一環として相談窓口を設けているところもあるため、まずは地域の福祉事務所へ相談するのがおすすめです。

香典は受け取っても問題ないか?

生活保護受給者の葬儀で、香典を受け取っても良いか気になりませんか。原則として香典の受け取り自体は禁止されていませんが、以下のような点に注意が必要です。

  • 香典は「収入」として扱われる場合があり、生活保護制度上は報告が必要
  • 葬祭扶助を利用した葬儀の場合、香典を使って追加の祭壇などを設けると扶助対象外になる可能性あり
  • 香典を受け取ったことがトラブルに発展する例も(遺族間の争いなど)

香典を受け取り自体は違法ではありません。ただし香典をもとに華美な葬儀や返礼品などを行うと、扶助の趣旨に反すると見なされる恐れがあります。

また香典の使い道によっては、後から扶助費との重複と判断されるケースもあるため、念のためケースワーカーや福祉事務所へ事前確認を取ると安心です。

戒名や読経の費用は誰が払うのか?

仏教葬儀において、戒名や読経は重要な儀式ですが、これにかかる費用は原則として葬祭扶助の対象外となるケースがほとんど。遺族が自費で支払う必要があります。

戒名・読経の費用相場は以下の通りです。

  • 戒名料…3万〜30万円(宗派や地域により異なる)
  • 僧侶の読経…3万〜10万円程度

葬祭扶助では火葬・搬送・最低限の納棺処理が対象であり、宗教儀礼に関する費用(戒名や読経)は含まれていません

僧侶を呼びたい場合は、葬儀社を通じて手配し、自費での対応となります。ただし寺院によっては葬祭扶助利用者向けに低料金での対応をしてくれるケースもありますので、事前に相談してみると良いでしょう。

特殊清掃が必要になるケースと費用の目安は?

孤独死や事故死などで遺体の発見が遅れた場合、室内に異臭や汚染が発生し、特殊清掃が必要になるケースがあります。

通常の清掃とは異なり、専門業者による除菌・消臭・原状回復が必要となるため、費用も高額になりがちです。

特殊清掃が必要な例は以下の通りです。

  • 孤独死で死後数日以上経過していた
  • 血液や体液の汚れが床・壁に浸透している
  • 害虫が発生していた
  • 近隣から異臭クレームが出た

気になる費用の目安は以下の通りです。

作業内容相場
基本清掃(除菌・消臭)5万〜10万円
汚染部分の撤去・原状回復10万〜30万円以上
遺品整理・搬出5万〜20万円

特殊清掃が必要になるかは現場の状況によって異なりますが、孤独死のケースではほとんどの場合必要になると考えておいた方が良いでしょう。

費用は高額になることが多く、相続放棄をしてしまえば支払義務は回避できますが、放棄前に遺族が清掃業者を手配すると、責任が生じる可能性もあります。

対応に迷ったら、まずはケースワーカーや地域の福祉事務所に相談し、指示を仰ぐのが安全です。

生活保護の方が死亡したらしあわせの遺品整理にご相談ください

生活保護受給者の死亡時は、通常の葬儀や遺品整理とは異なる注意点が多くあります。

相続放棄の判断・香典の扱い・宗教的儀式の費用・特殊清掃の可否など、多岐にわたる問題を適切に処理するには、専門的な知識と経験が必要となるでしょう。

特に相続放棄を希望する場合は、遺品に触れるだけでも大きなリスクとなるため、プロの支援を受けるのがおすすめです。

しあわせの遺品整理では、複雑なケースにも対応できる専門知識とノウハウを持つスタッフが在籍しており、全国対応で安心してご相談いただけます。

原状回復・特殊清掃・福祉葬儀との連携まで、一括して対応可能です。

  • 相続放棄に伴う遺品整理の実績多数
  • 福祉事務所との連携サポート
  • 清掃・廃棄・供養までワンストップ対応
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「何をすればいいか分からない」「勝手に処分していいのか不安」そんなときは、お気軽にお問い合わせください。

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